Amazon FBA vs FBM完全ガイド|越境EC初心者のための選び方と使い分け戦略

はじめに

Amazon越境ECで海外販売を始める際、多くのセラーが最初に直面するのが「FBA(Fulfillment by Amazon)」と「FBM(Fulfillment by Merchant)」の選択です。この判断は、ビジネスの収益性や運営効率に直結する重要な決定となります。

本記事では、在庫管理の仕組みから手数料構造、それぞれのメリット・デメリット、そして米国市場での実態まで、データに基づいて包括的に解説します。

FBAとFBMの基本的な違い

FBA(Fulfillment by Amazon)とは

FBAは、商品の保管から配送、カスタマーサービスまでをAmazonに委託するフルフィルメントサービスです。出品者は商品を事前にAmazon指定の倉庫(フルフィルメントセンター)に納品し、注文が入るとAmazon側でピッキング・梱包・配送・返品対応までを代行します。

特に越境ECにおいては、日本から米国への大量商品発送や国際配送手配の負担が大きいため、現地倉庫を活用できるFBAは強力な選択肢となります。

FBM(Fulfillment by Merchant)とは

FBMは、在庫の保管から受注後の梱包・発送まで、すべて出品者自身が行う方式です。Amazonは販売プラットフォームと受注情報の提供のみを担当し、物流には関与しません。

日本の事業者がAmazon.com(米国)でFBM販売する場合、商品を自社や国内倉庫で保管し、注文のたびに日本から海外発送するか、米国にある提携倉庫から出荷することになります。

在庫管理とリードタイムの違い

FBA利用商品はAmazonの現地倉庫から発送されるため、プライム会員向けの1~2日配送にも対応可能です。米国では世帯の60~70%がAmazonプライム会員というデータもあり、プライム対象商品は購入されやすい傾向にあります。

一方FBMでは、出品者自身の発送作業の迅速さや対応品質がそのまま顧客評価に直結します。特に日本から米国への直送の場合、配送日数が長くなりがちで、迅速配送が当たり前の米国顧客の期待に応えるのは容易ではありません。

手数料・コスト構造の詳細比較

FBAの手数料体系

FBAを利用する場合、以下の手数料が発生します:

  • FBA配送代行手数料:商品が売れるごとに発生(ピッキング・梱包・発送料)
  • FBA在庫保管手数料:月額で保管スペース量に応じて課金
  • 長期在庫保管料:一定期間経過後の売れ残り在庫に追加課金
  • 販売手数料:カテゴリごとに約8~15%(FBA・FBM共通)

これらは商品のサイズ・重量や保管期間によって変動します。また、FBA倉庫への納品時の国際送料や通関費用も出品者負担となります。

FBMのコスト構造

FBMではAmazonによる保管・配送サービスを使わないため、FBA固有の手数料は発生しません。しかし出品者側で以下のコストを負担します:

  • 自前倉庫の保管費用
  • 梱包資材費
  • 注文ごとの送料(国際配送の場合は特に高額)
  • 人件費(梱包・発送作業)

FBAでは送料込みの一律料金体系で分かりやすい一方、FBMでは配送先や重量によって送料負担が変動するため、コスト管理が複雑になる面があります。

コストモデルの本質的な違い

FBAは「お金を払って手間と時間を省く」モデルであり、FBMは「手間と時間をかけてコストを抑える」モデルと言えます。FBA手数料が高く感じられても、その中にはアメリカ国内配送費や倉庫人件費などが含まれており、自社で同等のサービス水準を保つコストと比較検討する必要があります。

FBAとFBMのメリット・デメリット

FBAの主なメリット

1. 迅速な配送とプライム対応 Amazon倉庫から発送されプライムバッジが付与されるため、顧客への配送が速く、購入率(コンバージョン率)向上に有利です。

2. 業務負担の大幅な軽減 在庫保管・梱包・配送・返品対応をAmazonが代行するため、出品者は商品開発や販売戦略などコア業務に集中できます。

3. カート取得における優位性 Amazonの高品質物流による顧客の信頼感が高く、Buy Box(カート獲得)でも有利になる傾向があります。

FBAの主なデメリット

1. 手数料コストの高さ 配送代行料・保管料などランニングコストがかさみます。特に大型商品や低頻度販売品では手数料負担が重く、利益を圧迫する可能性があります。

2. 在庫リスク 在庫を事前に預けるため売れ残りリスクや長期保管料が発生します。需要予測を誤ると在庫処分や追加費用の問題が生じます。

3. 運用上の制約 Amazon倉庫任せのため包装形態に融通が利かず、自社独自の同梱物を入れづらい側面があります。

FBMの主なメリット

1. 手数料負担の低減 FBA手数料や保管料が不要なため、商品によっては自社発送の方が利益率を高く保てます。

2. 在庫管理の柔軟性 自社倉庫で在庫を管理でき、自社ECサイトや他のマーケットプレイスと在庫を一元管理しやすくなります。

3. ブランド体験のコントロール 商品発送時の梱包を自分で工夫可能で、ブランド独自の箱やノベルティ同梱などが自由に行えます。

FBMの主なデメリット

1. 配送業務の負担増 注文のたびに梱包・発送作業が発生し、発送ミス対応や返品処理まで含め工数が多くなります。

2. 配送スピードの課題 プライム配送が無く、日本からの国際配送では遅くなりがちです。米国顧客にとっては配送の遅さが敬遠され、カート取得や売上面で不利になります。

3. 顧客対応リソースの必要性 配送遅延やクレーム対応も含め出品者自身で行う必要があり、特に小規模事業者には負担となります。

どんな事業者・商品に向いているか

FBAが適しているケース

1. 小規模~中規模のセラーや初心者 自社で物流体制を持たない場合でも、FBAなら手軽に全国・世界規模の配送ネットワークを利用できます。

2. 在庫回転が速い商品 売れ行きが良く滞留しない商品はFBAとの相性が良く、回転率が高ければ保管料も最小限で済みます。

3. 十分な利益率が確保できる商品 単価数千円以上で粗利30%以上が見込める商品であれば、FBA手数料を支払っても利益を出しやすいでしょう。

4. ペット用品や日用品など 「配送の確実さ・速さ」が購入転換に影響しやすいカテゴリでは、FBAによる迅速配送が強みになります。

FBMが適しているケース

1. 大型商品・重量物 サイズや重量が大きい商品はFBAの手数料が高額になりやすく、自社発送の方がコストを抑えられます。

2. 販売頻度が低い商品 ニッチ品や季節商品など、在庫回転が遅い商品は、長期間FBA倉庫に置くと保管料が嵩むため、FBMの方が効率的です。

3. 複数チャネルでの在庫連携 自社ECサイトや他モールと在庫を共有したい場合、FBMなら自社在庫を各チャネルに柔軟に割り当てられます。

4. ブランド体験を重視する商品 オリジナルの箱詰めやおまけ封入、リーフレット同梱など、独自の演出をしたい場合はFBMが適しています。

ハイブリッド運用という選択肢

実際には、FBAとFBMを併用する戦略も一般的です。Amazonでは同一商品に対し、FBA在庫と自社発送在庫を同時に持つことができます。

例えば:

  • 通常はFBAで在庫を置いて販売し、FBA在庫が切れた際に一時的にFBMで出荷対応
  • 主力商品はFBAで大量販売し、季節限定品やセット商品はFBMで少量販売
  • ホリデーシーズンなどFBA倉庫が逼迫する時期に、FBM出荷で補完

多くの上級セラーはFBAを主軸に据えつつ、FBMを在庫切れ時のバックアップや特殊商品の発送手段として活用しています。

アメリカ市場における選択傾向

FBAの圧倒的な優位性

米国Amazon市場では、2025年時点でアクティブな出品者の約82%がFBAを利用しており、残り18%程度がFBMもしくは両方を併用するモデルを採用しています。つまり5人に4人以上のセラーが何らかの形でFBAを活用している計算です。

特にプライベートブランド型(自社製品を販売する)セラーの約92%がFBAを使用しており、小規模セラーほどFBAを選ぶ傾向が見られます。

FBA優位の背景

この傾向の背景には、以下の要因があります:

1. プライムバッジの効果 Amazon.comの顧客層は「早く届くこと」が大前提の場合が多く、プライム対応していない商品は検索でフィルタアウトされたり、カートボックス取得競争で不利になります。

2. アルゴリズム上の優遇 Amazonのアルゴリズム上も在庫切れや配送遅延のリスクが低いFBA出品が優遇される面があり、FBA利用が売上拡大に直結しやすい市場環境となっています。

3. 顧客の期待値 米国のプライム会員比率の高さから、迅速配送が標準となっており、この期待に応えるにはFBAが最も効率的です。

FBMの戦略的活用

もっとも、FBMにも一定の役割があります。米国市場では配送インフラや3PL(サードパーティ物流)サービスも発達しており、自社物流で迅速配送できる中規模以上のセラーは、コスト最適化のためFBMを併用するケースもあります。

具体的には:

  • FBAでは手数料が高すぎる大型商品だけFBMにする
  • 自社倉庫から特定地域の顧客には直接送って配送コスト削減
  • ホリデーシーズンなどFBA倉庫が逼迫する時期の一時的な対応

このように、商品特性と費用対効果を見極めて使い分ける傾向があります。

まとめ:最適な選択のために

FBAとFBMは、どちらが常に優れているというものではありません。重要なのは、自社の商品特性・販売戦略・リソースに合った配送方法を選ぶことです。

初心者へのアドバイス: まずはFBAを活用して業務効率と売上拡大を図り、ビジネスに慣れてきたら商品ごとにFBMも組み合わせて利益率と顧客サービスのバランスを最適化するのが理想的です。

判断のポイント:

  • 商品の回転率、サイズ、利益率を精査する
  • 米国市場では82%がFBAを利用している事実を踏まえる
  • 手数料負担と運用負荷のバランスを見極める
  • 必要に応じてハイブリッド運用を検討する

最終的には、顧客満足度を高めながらビジネスの成長と利益最大化を両立させることが目標です。この記事で解説した各要素を総合的に判断し、自社に最適な戦略を構築してください。

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