Amazon販売でFDA違反を防ぐ完全ガイド:規制準拠から復活対策まで

米国FDA規制

Amazon販売において、FDA(米国食品医薬品局)規制への対応は避けて通れない課題となっています。特にサプリメント、化粧品、医療機器を扱う販売者にとって、規制違反は即座にアカウント停止や法的措置に繋がるリスクを抱えています。

本記事では、実際のFDA違反事例から学ぶべき教訓、具体的な準拠対策、2024年以降の取り締まり強化動向、そしてアカウント停止時の復活手順まで、販売者が知っておくべき情報を包括的に解説します。


Amazon上で頻発するFDA違反の実態

サプリメント分野における深刻な違反事例

FDA調査により、Amazon上で「エネルギーサプリメント」や「栄養補助食品」として販売されていた商品に、シルデナフィルやタダラフィルといった処方薬成分が無許可で混入していた事例が確認されています。これらはED治療薬の有効成分であり、本来ラベルに記載されるべき重要成分が隠されていました。

FDAはこの事態を重く見て、Amazonに対し15営業日以内の対応報告を求める警告書を送付しています。このような未承認医薬品の販売は連邦法違反となり、消費者の健康被害(血圧の急激な低下など)を引き起こす恐れがあるため、当該商品の回収・削除、販売者のアカウント停止といった厳格な措置が取られます。

特に注意すべきは、「エナジーハニー」のような一見無害な食品を装った製品にも医薬品成分が混入していた点です。食品の名を借りた未承認医薬品として、二重の法律違反と見なされるケースもあります。

化粧品・美容商品の規制違反パターン

化粧品カテゴリーでは、医薬品的な効能を標榜する違反が頻発しています。「コラーゲンを増やす」「シワを消す」といった効果を謳うクリームは、医薬品扱いとなりFDA承認が必要です。承認なしでこのような効果を謳えば、未承認医薬品の販売として違法となります。

また、一部の強力なケミカルピーリング商品では、皮膚に火傷や激痛などの深刻な障害を引き起こすケースが報告されており、FDAがAmazon上の該当商品に警告を発し、販売者に是正を求めた事例もあります。

2024年には、Amazon独自のコスメ製品ガイドラインが制定され、全成分リストの開示や医薬品成分が含まれる場合の適切な情報提供が義務付けられました。遵守しない出品は削除対象となり、商品ページ削除だけでなく販売権限の一時停止にも繋がる可能性があります。

医療機器の無許可販売リスク

医療機器については、クラス分類に応じてFDAの許可・認証が必要です。Amazon上で一般消費者が許可なく販売できる医療機器は極めて限定的で、眼鏡フレームや日焼けマシン、補聴用途の集音器など一部のみに限られます。

心拍計や胎児超音波装置、注射器具など、本来医師や専門資格が必要な機器を無許可で販売することは重大な違反です。実際に、脂肪溶解注射液(LemonBottleなど)がAmazon上で販売されていた事例では、FDAがこれらを未承認の注射用医薬品と見なし警告書を発出しました。

注射製品は体内に直接投与され、感染症リスクや毒性リスクが高いため、FDAは「身体の防御機構を迂回する注射製品は深刻な危害を及ぼす恐れがある」と特に問題視しています。Amazonも当該商品の出品停止や在庫廃棄を行い、関与したセラーに厳格な処分を科したと見られます。

さらに、高濃度の麻酔クリーム(タトゥー施術向けの強力な局所麻酔薬など)についても、OTC医薬品として許可されていない濃度で販売されていたため、2025年にFDAがAmazonへ警告し、対象商品の削除措置が取られています。


FDA準拠のための実践的対策

正確なラベル表示の徹底

FDA法規に準拠した商品ラベル表示は、規制遵守の基本中の基本です。栄養補助食品であれば、商品名と「サプリメント」の表示、製造元や販売元の氏名・住所、内容量、全成分表示、栄養成分表示(サプリメントファクト)などが必須となります。

成分は漏れなく列挙し、食品添加物やカプセル素材等も「その他の原材料」として記載する必要があります。米国販売なら表示は英語で行い、必要に応じ警告文や使用上の注意も明記します。

特に重要なのが、サプリメントが健康効果に関する表示(構造機能claims)をする場合の免責表示です。「本製品は米国食品医薬品局(FDA)の評価を受けていません。本製品は、疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません」という免責文言(FDAディスクレーマー)を各該当箇所に入れることが法的に求められます。

この免責文言がないまま治療効果を示唆すると、その商品は未承認の違法医薬品と見なされる可能性があります。実際に、高血圧や糖尿病に効くと謳うサプリが免責表示なしで販売されていた例では、誤解を招く表示によるミスブランド(虚偽表示)として違法販売とみなされています。

成分の安全性・規制確認プロセス

商品に使用する成分がFDAで使用を禁止された物質を含まないか、常にチェックする必要があります。サプリメントではエフェドラ類アルカロイド(マオウ由来成分)やDMAAのように、過去に健康被害から禁止された成分があります。

処方薬成分(シルデナフィル、ステロイド、興奮剤など)をサプリや食品に混入させることは厳禁です。違法ドラッグや指定成分(大麻由来でTHCを含む製品など法令で所持禁止のもの)は、Amazonでも明確に出品禁止となっています。

新規の原料をサプリに使う場合、それが1994年以前から米国市場で使用されている成分か確認しましょう。もし「新規栄養成分(NDI: New Dietary Ingredient)」に該当する場合、販売開始の少なくとも75日前までにFDAへ安全性に関する通知書を提出しなければなりません。この手続きを怠ると法律違反となります。

化粧品の場合も、色素添加物の一部にはFDA認可が必要なものがあり、水銀など有害物質は配合禁止です。医療機器の場合はさらに厳格で、販売予定の商品がFDAのクラス分類上どのカテゴリーかを調べ、必要なら510(k)届出や承認を取得することが不可欠です。

製造と品質管理の確保

FDA準拠には製品の製造工程の管理も含まれます。米国販売向けの食品・サプリメントは、製造施設がFDAのcGMP(現行適正製造規範)に則っている必要があります。具体的には、21 CFR Part 111(サプリメントGMP)や117(食品GMP/HARPC)に適合した製造を行うことが求められます。

販売者自身が製造していなくても、委託先の工場がこの基準を満たしていないと責任を問われます。Amazonでは近年、サプリメント出品者に対しGMP適合の第三者認証証明(NSF、USP、ULなどのGMP認証書)の提出を義務付けています。

さらに製品ごとの成分検査証明書(COA)も提出が必要で、ISO/IEC 17025認定の検査機関による直近12か月以内の分析結果を用意しなければなりません。これら書類で有効成分含有量や微生物・重金属などの規格試験に合格していることを示し、Amazonに登録するプロセスが導入されています。

製造ロットごとの試験記録や出荷記録も保管し、万一問題発生時には即座にロット特定・回収ができる体制を整えましょう。Amazonから追加資料の要求が来ることもあるため、原料のサプライヤー証明、製造工程のSOP、ロット検査結果なども用意しておくことが推奨されます。

FDA登録・届出の遵守

FDAは食品・サプリメント・化粧品・医療機器の製造施設や流通業者に施設登録(Facility Registration)を義務付けています。米国内向けに食品やサプリメントを製造・加工・包装・保管するすべての施設は、米国バイオテロ法に基づき事前にFDA登録しなければなりません。

海外製造の場合も、米国代理人を立てて登録が必要です。販売者自身がメーカーでなくとも、仕入先が適切に登録・届出しているか確認しましょう。

医療機器では製造元・販売業者のEstablishment Registration(施設登録)とDevice Listing(製品登録)が必要となる場合があります(クラスII以上の機器など)。FDAの公式データベースで自社取扱商品の登録状況を確認し、不備があれば速やかに対応します。

特定製品ではFDA事前通知(米国輸入前の食品のPrior Noticeなど)や年次登録更新なども必要です。こうした行政手続き上の義務を怠ると、税関での差し止めや販売停止に繋がるため注意が必要です。

広告表現・効能表示の管理

販売ページ上の宣伝文句にも細心の注意を払う必要があります。「○○を治療する」「痛みを和らげる」「○○を予防する」といった疾病の治療・緩和・予防を謳う表現は原則禁止です(それが事実でも、医薬品として承認を受けない限り違法広告となります)。

Amazonのポリシーでも、疾病を診断・治療・予防できると示唆する出品は禁止されています。サプリメントで「インフルエンザを予防」「関節炎を治す」などと記載すれば、自動検出システムにより未承認医薬品と判断され、即座に出品取り下げやアカウント警告を受ける可能性が高いです。

許されるのは、構造機能に関する控えめな表現(「免疫サポート」「関節の健康維持を助ける」など科学的根拠に基づく一般的効能)に限られます。それでも該当する場合は前述の免責文言(評価されていない旨)を記載する必要があります。

化粧品も同様で、「肌を清潔に保つ」程度の表現は許容されても「ニキビを治す」は違反となります。FDA承認済でないのに「FDA認証取得」などと謳うのも虚偽表示となり禁止されています。

販売者は、商品ページやパッケージ上の文言を総点検し、医薬品的な効能主張や不適切な認証表示がないか確認しましょう。不安な場合は専門家(薬事コンサルタントや弁護士)に表現を監修してもらうことも有用です。


2024年以降の取り締まり強化動向

Amazonによるサプリメント規制強化

2024年4月2日より、Amazonは米国サイトで販売される全ての栄養補助食品に対し第三者機関による成分試験・認証を義務付けました。具体的には、Amazon公認の検査機関(NSF International、Eurofins、ULなど)を通じて製品サンプルの分析試験を実施し、有効成分表示の検証・重金属や微生物汚染の有無・未申告の医薬成分混入チェックなどに合格する必要があります。

特にリスクの高いカテゴリー(強壮剤・ダイエット薬・スポーツサプリ・関節痛対策など)は重点的に検査対象となっています。この「TIC(Testing, Inspection, Certification)プログラム」により、提出された製品が合格しなければAmazon上で販売継続不可となります。

検査は1年ごとに更新が必要で、期限切れになるとリスティング停止となるため、セラーは継続的な対応が求められます。これらの新ルールは2024年初頭から中頃に段階的に適用され、2025年にかけて厳格に運用されています。

背景には、FDAからAmazonへの度重なる警告や市場の不信感を受け、Amazonが自主的に安全管理を強化した側面があります。実際、Amazonは「消費者の信頼を守るため、業界で最も厳しいサプリメント管理を行う」と表明しており、違反商品の排除に注力しています。

化粧品分野での新ガイドライン

2024年9月、Amazonは化粧品カテゴリーの出品者に対し一斉通知を行い、製品情報の更新義務を課しました。具体的には同年9月24日までにすべての化粧品商品ページにおいて「全成分リストの明示(画像またはテキスト)」「医薬品成分が含まれる場合はその旨の表示」「製品名・目的・内容量・製造販売業者情報の明記」を完了するよう要求しています。

期限までに対応しない場合、当該商品の出品は自動削除される可能性があると警告されました。この新ガイドラインは、2023年末に施行された米国「化粧品規制近代化法(MoCRA)」への対応と見られ、Amazon上でも成分開示の徹底や有害な製品の排除を図ったものです。

特にネット上で高濃度ピーリング剤など無認可コスメの被害報告が増えていたことから、FDAも監視を強めており、Amazonも連携して問題製品の摘発を進めています。今後も化粧品についてはFDAへの施設登録義務や有害事象報告義務など新たな規制が段階施行される予定で、Amazonのポリシーもそれに沿ってアップデートされる可能性があります。

FDAによる直近の取り締まり事例

FDA自身も近年、ネット通販プラットフォームに対する法執行を強化しています。2022年8月と11月には、AmazonおよびWalmartに対し未承認医薬品の販売停止を求める警告書を発出しました。これらは「ホクロ除去剤」「スキンタッグ(皮膚突起)除去クリーム」と称する製品がAmazon上で販売されていた件などに対応したものです。

FDAは「市販でホクロやスキンタッグを除去できる医薬品は存在せず、自己判断で使用すると癌の発見が遅れる恐れがある」として、これら商品の違法性を指摘しました。

2023年12月には違法成分混入サプリ販売に関するAmazonへの警告書が出され、2025年3月から4月にも、脂肪溶解注射薬や高濃度麻酔クリームの事例でAmazon宛の警告書が発行されています。FDAは継続的にAmazonマーケットプレイス上の商品を匿名購入・分析して問題摘発を行っている状況です。

こうしたFDAの動きに対し、Amazonも問題商品の迅速な削除・出品者への是正措置で応じています。さらにAmazonは自主的取り組みとして、AIを活用した違反出品の自動検知システムや、専門チームによるパトロールを強化しており、虚偽の健康情報や禁止成分の摘発件数が増加傾向にあります。


アカウント停止時の復活対策

アカウント停止に至る典型パターン

FDA関連の違反では、特定の商品ページのポリシー違反から発覚し、それが累積または重大な場合にアカウント全体の停止へと発展します。例えば、「未承認医薬品」とみなされる商品を出品した場合、まず当該ASINの出品抑止(抹消)や警告が行われます。

実際に、あるセラーはキャンディ菓子を出品中にAmazonから「この商品は未承認医薬品と判断されたため出品禁止」との通知を受け、リスティングが停止されました。成分の安全性証明やFDAページの資料を提出して誤認を訴えましたが、サポートからは定型的な回答しか得られず、状況打開に苦労したケースもあります。

度重なる違反(複数商品の違反出品、過去の警告無視)や消費者被害の発生(重大クレームや健康被害報告)は、即座にアカウント停止措置が取られる引き金となります。特にFDA絡みの問題はAmazonもリスクを重視するため、一度の違反でも深刻度によっては事前の警告無しに即時アカウント停止となるケースもあります。

効果的な改善計画書の作成

アカウントが停止(Suspended)状態になった場合でも、適切に対処すれば復活(再開)できる可能性は十分に残されています。まずAmazonからの通知内容を熟読し、なぜ停止に至ったか(原因)を正確に把握します。

次に、その原因を解消し再発防止策を講じたうえで、改善計画書(Plan of Action)を期限内(通常は通知受領後17日以内)に提出します。改善計画書には一般に以下を盛り込みます:

  1. 問題の根本原因の分析:なぜ違反が発生したのか、具体的かつ客観的に分析
  2. 是正措置の詳細:違反商品の削除や表現修正、顧客へのリコール対応など、既に実施した対応
  3. 再発防止策:社内チェック体制の強化、法規トレーニング実施など、今後の対策

例えば未承認医薬品と指摘された場合なら、「当該商品の出品をすでに取り下げ、在庫は破棄済み。今後はFDA規制を専門家に確認し事前にコンプライアンスレビューを行う体制を整えた」等、具体策を示します。

証拠書類も可能な限り添付しましょう。修正後のラベル画像や成分証明、研修資料などは有力な裏付けとなります。またお客様への影響に配慮した対応(必要なら自主回収や返金措置を取った旨)も記載すると誠意が伝わります。

実際に、ある販売者は免責表示を追記した新ラベルと第三者試験結果を提示し、Amazonに商品が安全であることを訴えてリスティング復活に漕ぎ着けたケースも報告されています。

閉鎖を避けるための早期対応

注意すべきは、アカウント停止状態を放置したり対応が不十分だったりすると、最終的にアカウント閉鎖(Ban)に至る可能性があることです。閉鎖になると復活のハードルは格段に上がり、90日以内の正式な異議申し立てで覆らなければ事実上そのアカウントでは二度と販売できなくなります。

最悪の場合は在庫の強制返送・売上金の一定期間凍結なども生じます。そのため、早期の誠実な対応が肝心です。もし自身での対処に不安がある場合、Amazon出品者向けのコンサルティング業者や弁護士(専門のSeller Lawyer)に支援を仰ぐ方法もあります。

特にFDA違反が絡む場合は法的解釈も関わるため、プロのチェックを受けることも検討に値します。過去には「未承認医薬品の販売」で閉鎖されたストアが根気強い異議申立ての末に復活できた例もありますが、これは極めて例外的と言えます。

継続的な順守体制の構築

アカウント復活後は再発防止が何より重要です。一度違反歴が付いたセラーは再度の監視も厳しくなるため、定期的な商品リストの監査や、FDA・Amazonポリシーのアップデート情報のウォッチを習慣づけましょう。

具体的には、新商品を扱う前に成分と効能表現をチェックリストで点検し、問題があれば修正・排除するプロセスを設けることです。また、万が一当局から連絡や訪問があった場合にも協力できるよう、製品書類を整理し問い合わせ窓口を決めておきましょう。

アカウント健全性スコアの定期確認、24時間以内の顧客対応、知的財産権侵害の回避などの基本動作はもちろん、FDA準拠についても社内ルール化しておくと安心です。これらの地道な取り組みが、結果的にアカウント停止リスクの低減と安定経営につながります。


まとめ

Amazon販売におけるFDA規制対応は、単なる法令遵守を超えて、長期的なビジネスの信頼性と持続可能性を左右する重要な要素となっています。2024年以降の取り締まり強化により、従来は見逃されていた違反も厳格に摘発されるようになりました。

サプリメント、化粧品、医療機器を扱う販売者は、正確なラベル表示、成分の安全性確認、製造品質管理、FDA登録、適切な広告表現の全てにおいて、継続的な注意と対応が求められます。特に第三者機関による成分試験・認証の義務化は、販売者にとって新たな負担となる一方、市場全体の信頼性向上にも寄与する可能性があります。

万が一アカウント停止に直面した場合でも、適切な改善計画書の提出と誠実な対応により、復活の道は残されています。しかし最善の策は、違反を未然に防ぐための予防的な体制構築です。「規制を味方につける」意識でFDA準拠を徹底し、安全で信頼される商品提供を続けることが、長期的なAmazon販売成功の鍵となるでしょう。

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