米国向け化粧品輸出で失敗しないインボイス・パッキングリスト作成ガイド【2025年最新版】

米国越境EC

米国への化粧品輸出において、インボイス(商業送り状)とパッキングリスト(梱包明細書)の正確な作成は、スムーズな通関を実現する最も重要な要素です。これらの書類は税関での関税算出の基礎となるだけでなく、FDA(米国食品医薬品局)による製品審査にも直結します。

本記事では、米国向け化粧品輸出におけるインボイスとパッキングリストの作成実務について、必須記載項目から通関拒否を防ぐポイント、2025年最新の審査動向まで、実践的な情報を網羅的に解説します。特に越境EC事業者が陥りがちなミスと対処法にも焦点を当て、確実な通関を実現するための知識をお届けします。


インボイスとパッキングリストの必須記載項目

基本となる書類の役割

インボイスは商品明細や金額など取引内容を記した書類で、輸入国での関税算出の基礎となります。一方、パッキングリストは各箱に何がどれだけ入っているか、総数量や重量・サイズを示す書類で、税関や輸送業者が貨物の内容を把握するために用いられます。

どちらも英語で作成し、内容は完全に一致させなければなりません。一方にしか記載がない項目や矛盾する記述があると、税関に指摘され修正や追加提出を求められる原因となります。

必ず記載すべき主要項目

輸出者・輸入者情報 輸出者(Shipper)と輸入者(Consignee)の会社名・住所・電話番号・メールなど連絡先一式を明記します。場合によっては、実際の輸入者(IOR)情報や納税者番号(法人のEINや個人のSSN)も必要です。

インボイス番号・日付 一意の番号と作成日/発送日を記載し、貨物と取引を紐づけます。

貿易条件と支払条件 インコタームズ(FOB、CIF、DAPなど)や支払条件を明記し、誰が運賃・関税を負担するか明確にします。

取引目的 販売(Sale)、贈答(Gift)、サンプルなどを具体的に記載します。重要なのは、ギフトであっても適正な市場価格を申告する義務がある点です。

品名・商品詳細 具体的な製品名・種類・用途・材質等を明記します。例えば「化粧品セット」ではなく「フェイスクリーム(保湿用)、50ml」といった詳細な記述が望ましいです。不明瞭な品名は誤分類や通関遅延の原因となります。

数量と単位 数量(個数や重量など)と単位(pcs、kgなど)を正確に記載し、パッキングリストとも整合させます。

単価と総額 通貨を明記し、単価(Unit Value)と合計金額(Total Value)を記載します。送料や保険料を含める場合はその旨も記載します。

原産国 商品の製造国を「Made in ~」の形式で記載します。発送国(日本)ではなく、実際の製造国を正確に示す必要があります。

HSコード 適切な関税分類コードを記載します(通常6桁以上、米国向けには可能なら10桁のHTSコード)。

化粧品特有の推奨項目

化粧品の場合、製品の成分表やINCI(国際化粧品成分名)の情報も添付または記載することが推奨されます。ヤマト運輸の国際宅急便では、日本語の成分表示ラベルのコピー提出が輸出通関に必須とされています。

成分情報の提示により、輸入国当局(FDA等)が製品内容を把握しやすくなり、禁止成分の有無確認にも役立ちます。


HSコード記載で失敗しない3つのポイント

正確な分類が通関の鍵

HSコード(関税分類番号)の正確な記載は、化粧品カテゴリで通関トラブルを防ぐ最重要ポイントです。化粧品類は概ねHSコード第33類(3301~3307類)に分類され、多くは無関税品ですが、品目によって2~6%程度の関税がかかります。

例えば香水は3303、メイクアップ製品やスキンケアは3304、ヘアケアは3305、歯磨き粉等は3306といった具合です。製品に該当する細目コードまで可能な限り特定し、インボイスに記載してください。

医薬品的効能を持つ製品の注意点

特に注意すべきは、製品の性質による分類ミスです。医薬品的な効能を持つ製品(例:日焼け止め、ニキビ治療成分入りクリーム等)は、米国では「医薬品(薬用化粧品)」と見なされ、追加規制の対象となります。

関税分類上も通常の美容製品(HS3304)ではなく医薬品側(例えばHS3004など)に分類されたり、関税が課される場合があります。製品の実態に合ったHSコードを申告しなければなりません。

分類ルールの確認方法

分類ルールの確認には、各国税関や物流会社が提供する検索ツールの活用が有効です。米国向けには10桁のHTSコードを確認できる米国国際貿易委員会(USITC)のHTS検索や、FedExのGlobal Trade Managerなどを利用して正確なコードを特定しましょう。

必要に応じて通関士やフォワーダーに相談し、迷った場合は専門家の判断を仰ぐことが安全策です。誤ったHSコードの申告は、税関による分類のやり直しや最悪の場合、輸入拒否につながるリスクがあります。


原産国・成分表示・数量の整合性確保

原産国表示の正確性

原産国表示はインボイスの必須事項であり、特に米国向けでは製品ごとに製造国(Made in ~)を明記することが重要です。輸出国が日本だからといって、日本製でない商品まで一律に「Japan」としてはいけません。

例えば海外製の容器に日本で充填した化粧品の場合、「Container made in China, Filled and Finished in Japan」のように事実に即した記載が望ましいです。原産国が未記載だったり誤って記載されたインボイスは、税関で差し戻されたり修正要求される典型的な不備例の一つです。

INCI名と成分情報の重要性

INCI名(国際化粧品成分名)や成分情報の記載・添付も、化粧品輸出では実務上のポイントです。米国FDAは輸入時に製品の安全性を確認するため、全成分リストの提出や表示を求めるケースがあります。

インボイスの品名横に主要成分(英語名)を記載したり、別紙で全成分のINCIリストを添付するとよいでしょう。特に香料や防腐剤など、一部の成分はFDAで使用が規制されているため、事前に伝えることで誤認による足止めを防ぐことができます。

数量・単価の完全一致

数量・単価と合計金額の整合性は書類の基本チェックポイントです。インボイス上で数量×単価=合計金額が正しく計算されているか確認し、通貨単位(USDなど)も明示します。

また、数量や単位の表記はインボイスとパッキングリストで統一し、齟齬がないようにします。もしインボイス上の数量と実際の梱包数量が一致しなければ、税関で貨物検査となり通関が保留されかねません。


通関拒否を招く5つの典型的不備

商品名・内容の不備

品名が曖昧すぎる(例:「Cosmetics」だけでは内容不明)場合や、現物と異なる記載は問題です。税関は品名とHSコードの整合性を重視するため、ブランド名のみで用途不明な記載や誤解を招く説明は避け、誰が見ても分かる内容記述にします。

HSコード未記載または誤り

HSコードが書かれていなかったり、誤ったコードを申告すると、高確率で修正要求や審査強化につながります。故意の誤魔化しと受け取られれば、追加関税や罰則もあり得ます。

原産国の記載漏れ

インボイスに原産国が書かれていないケースは基本的な不備として指摘されます。「Made in ~」の記載がないと、関税適用やFDA規制判断ができないため、通関が止まってしまいます。

インボイスと実貨の不一致

送った商品の種類・数量・価格がインボイスと合わない場合、税関は真実性を疑います。例えばインボイスにない商品を箱に入れていた、記載数量以上の個数が見つかった、などは最悪の場合、虚偽申告とみなされ貨物押収のリスクすらあります。

価格の過小申告

関税や税金を免れようと、実勢とかけ離れた低価格でインボイスを作成するのは危険です。米国税関は不当に低い申告価格には敏感で、市場価格や類似商品の価格データと照合してチェックしています。

過小申告が発覚すれば追徴課税や罰金だけでなく、信用を失い今後の荷物が厳格に審査される恐れがあります。ギフト扱いであっても0ドル申告は不可で、市場価値の申告が必要です。


2025年最新:米国税関・FDAの審査強化

FDA審査の必須化

米国向けに化粧品を輸出する際は、税関(CBP)だけでなく米食品医薬品局(FDA)による審査も視野に入れる必要があります。米国では輸入通関データが自動的にFDAにも共有され、FDAは必要に応じて製品検査や書類確認を行います。

つまり、税関手続きと並行してFDAのチェックが存在し、税関が問題なしと判断してもFDAの承認が下りずに貨物が留め置かれる場合も起こり得ます。

少額輸入品への管理強化

近年の実務的傾向として、米国当局は越境EC貨物を含む少額輸入品に対する管理を強化しています。2024年7月、CBP(税関)は低価格のFDA規制対象製品に対するFDA審査免除を撤廃しました。

従来は申告価額800ドル以下の化粧品等について簡易な手続きで通関できる場合もありましたが、それが不可能になったのです。この変更により、価格や数量に関係なく全ての化粧品がFDA審査の対象となりました。

MoCRAによる新規制

また、2023年末に施行された化粧品規制近代化法(MoCRA)により、米国内で流通する化粧品の製造施設登録や安全性実証義務が強化されました。輸出者の立場でも、製品がMoCRAに沿った適正表示(例:アレルゲンの表示や米国内責任者の連絡先表記)を満たしているか確認することが求められます。


小規模EC事業者が避けるべき5つのミス

ミス① 書類の簡略化

面倒だからとインボイスを省略したり、必要事項を満たさないメモ書き程度の書類で済ませようとするケースがあります。しかし商業インボイスなしでは正式な通関はできません。

対処法: 貿易実務の入門書や信頼できるウェブサイトからチェックリストを入手し、項目漏れのない書類を自作する癖をつけます。可能なら通関業者に書類の事前チェックを依頼するのも一案です。

ミス② 商品説明不足

自社では通じる商品名でも、税関職員には意味不明ということが多々あります。説明不足は分類ミスや不要な疑念を招き、検査対象にされる原因です。

対処法: 英語で一般名称と用途を補足しましょう。例えば「××パック」なら「Facial Sheet Mask (Skincare Cosmetic)」のように、何の製品か一目で分かる表現にします。

ミス③ HSコードの軽視

小口だからとHSコードを適当に書いたり、「Gift」と書けば関税も見逃してもらえるだろうという安易な発想は禁物です。現在は少額でも正式通関となり、内容チェックが厳格化しています。

対処法: HSコードは必ず調べて正確に記載します。税関から合理的注意(Reasonable Care)を払うことが求められている以上、輸出者として責任を持ちましょう。

ミス④ 実貨との齟齬

「サービスでオマケを入れたが書類には記載しなかった」「急ぎで送りたくて一部商品の詳細を書き忘れた」等のケースです。しかし税関検査で申告外の物品が見つかれば、虚偽申告と見做され厳しい対処を受けます。

対処法: 送るものは全てインボイスとパッキングリストに記載します。ノベルティや空のポーチ1つでも、入れる以上は「Free gift: Cosmetic pouch, value $1」などと書きましょう。

ミス⑤ 規制品目の見落とし

化粧品の中にはアルコールを含む可燃性液体(香水等)や、医薬部外品的成分を含むもの、動植物由来成分で規制に抵触するものがあります。

対処法: 発送前に規制品目か確認するクセをつけましょう。アルコール濃度が高いものは航空危険物に該当しないか、成分に動物由来のもの(例:牛由来原料は米国輸入禁止)がないかなど、事前チェックリストを作成します。


まとめ

米国向け化粧品輸出において、インボイスとパッキングリストの正確な作成は、スムーズな通関を実現する最も重要な要素です。本記事で解説した必須記載項目、HSコードの正確な分類、原産国・成分情報の整合性確保、そして典型的な不備の回避は、すべて実務で即座に活用できる知識です。

2025年現在、米国当局の審査は年々厳密になっており、特に少額輸入品に対する管理が強化されています。FDA審査の必須化やMoCRAによる新規制など、最新の動向にも常にアンテナを張る必要があります。

書類の完全性と正確性を高めること、事前のリサーチと準備を怠らないこと、そして不明点はプロに相談することが、トラブルを未然に防ぐ最善策です。インボイスはまさに貨物の「パスポート」であり、一語一句が審査対象となることを肝に銘じ、確実な通関を実現しましょう。

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