米国向け越境EC決済サービス徹底比較|Stripe・PayPal・Shop Payの手数料と導入方法

米国越境EC

米国市場で成功するための決済サービス選び

米国向け越境ECビジネスを展開する際、決済サービスの選択は売上に直結する重要な要素です。適切な決済手段を提供できなければ、カート放棄率が上昇し、せっかくの販売機会を逃してしまいます。

本記事では、米国市場で広く利用されているStripe(ストライプ)PayPal(ペイパル)、**Shop Pay(ショップペイ)**の3つの決済サービスを、手数料体系、導入のしやすさ、ユーザー信頼度という3つの観点から詳しく比較します。それぞれのサービスには独自の強みがあり、事業規模や利用するECプラットフォームによって最適な選択肢は異なります。

決済手数料の詳細比較

基本料金と取引手数料の構造

まず押さえておくべきは、3サービスとも初期費用・月額固定費は無料という点です。これは日本企業が越境ECを始める際の初期投資を抑えられる大きなメリットとなります。

Stripeの料金体系は非常にシンプルで、国内カード決済は一律3.6%の手数料が課されます。海外通貨での決済や外貨カード利用時には、追加で2%の通貨換算手数料が発生するため、実質5.6%となります。この明確な料金設定は事業計画を立てる上で予測しやすいという利点があります。

PayPalの手数料は、標準的な国内取引で3.6%+40円という構造です。米国など海外顧客からの支払いを受ける場合、通常の手数料に1.5%のクロスボーダー手数料が上乗せされ、さらに通貨換算時には約4%の換算手数料も発生します。つまり、海外取引では合計で約9%程度のコストとなる可能性があります。また、PayPal残高を日本の銀行に出金する際、5万円未満の場合は1件あたり250円の出金手数料がかかる点も考慮が必要です。

**Shop Pay(Shopify Payments経由)**の手数料は、利用するShopifyプランによって変動します。Basicプランでは国内カードで約3.55%、海外発行カードで約3.90%、上位のAdvancedプランでは国内カード2.90%、海外カード3.75%まで低減されます。取引量が増えるほど手数料率が下がる設計となっており、スケールを目指す事業者にとって魅力的です。さらに、Shopify Paymentsを利用すると、通常Shopifyが外部決済に課す取引手数料(0.2~2.0%)が免除される点も見逃せません。

返金時の手数料とチャージバック対応

返金処理は越境ECで避けられない課題です。3サービスとも返金時に元の決済手数料は返金されないという業界標準のポリシーを採用しています。つまり、顧客に全額返金しても、事業者側は決済時に支払った手数料を負担することになります。ただし、返金処理自体に追加の手数料は発生しません。

チャージバック(不正利用による払い戻し要求)が発生した場合、Stripeでは1件あたり15ドル、PayPalでも約20ドル程度のディスプート料が課されます。これらの手数料は紛争に勝てば返金されますが、負ければ事業者負担となります。不正利用対策として、Stripeは高度な不正検知システム「Stripe Radar」を提供しており、リスクの高い取引を事前にブロックすることで、チャージバックの発生自体を減らす取り組みを行っています。

日本企業にとっての導入ハードル

Stripeの技術的柔軟性とカスタマイズ性

Stripeは2014年に日本法人が設立されており、日本企業でもアカウント開設が可能です。Web上でアカウント登録を行い、基本情報や銀行口座を入力すれば比較的短時間で利用開始できます。

最大の特徴は開発者向けプラットフォームとしての柔軟性です。豊富なAPIにより、自社の要件に合わせた決済フローを細かくカスタマイズできます。主要ECプラットフォームとの互換性も高く、WooCommerceやWixなど多数のカートシステムに公式対応しています。

ただし、この柔軟性は技術的な設定が必要というトレードオフがあります。ノーコードでの扱いはやや難しく、自社サイトへの実装にはプログラミングやプラグイン導入が求められます。最近では「Stripe Checkout」や「Payment Links」といったコード不要の決済ページも提供されていますが、基本的には技術リソースがある企業向けのサービスと言えるでしょう。

PayPalの圧倒的な導入の手軽さ

PayPalは世界で最も認知度が高いオンライン決済サービスであり、日本企業による導入も極めて容易です。ウェブ上でビジネスアカウントを開設し、銀行口座や本人確認書類を登録すればすぐに利用開始できます。初期費用・月額費用は無料で、個人事業主から大企業まで幅広く利用されています。

技術的な実装面でも、PayPalはノーコードで使いやすい点が魅力です。公式が用意する決済ボタンをサイトに貼り付けるだけで導入でき、各種カートシステムのプラグインでも簡単に設定できます。

Shopifyなど主要ECプラットフォームでは標準でPayPal Express Checkoutが統合されており、ストア開設直後からデフォルトで有効になっています。最初の注文後にPayPalからアカウント連携の案内メールが届き、本格運用に移行できる仕組みです。総じて、最短数十分で決済手段を追加できる手軽さがPayPal最大の強みです。

Shop Payのシームレスな統合

Shop PayはShopifyが提供する決済ソリューションで、日本では2021年にサービスが開始されました。現在、日本法人がある事業者で、日本の銀行口座を持っていれば利用可能です。

導入は極めて簡単で、Shopify管理画面から「Shopifyペイメントを有効化」し、基本情報と銀行口座を登録するだけで審査なしに即日利用開始できます。通常、他の決済代行では事前審査に数日から数週間を要する場合がありますが、Shopify Paymentsではそのような煩雑なプロセスが不要です。

Shopify管理画面で有効化するだけで、VisaやMastercardはもちろん、Apple PayやGoogle Pay、さらにShop Pay(一括入力とSMS認証による高速チェックアウト)もまとめて利用可能になります。サポートもShopify経由で日本語対応しており、売上・決済もShopify上で一元管理できるため運用面の負担も軽減されます。

ただし、Shop PayはShopify専用のサービスであり、Shopify以外のサイトでは利用できません。また、対象国の制限や利用できない商品カテゴリー(一部の金融商品や成人向け商品等)が存在する点にも注意が必要です。

米国消費者からの信頼度と認知度

PayPalの圧倒的なブランド力

消費者から見た信頼度という観点では、PayPalの知名度と利用率が群を抜いています。PayPalは全世界で4億以上のアクティブユーザーを抱えており、米国に限っても約2.78億のアカウントが存在します。米国人の56%が自分のPayPalアカウントを持っているとの調査結果もあり、オンラインショッピング経験のある層では非常に広範囲に普及しています。

特に米国のジェネレーションX(40代前後)では85%がPayPalを利用した経験があるとも報告されており、幅広い年代に浸透した決済手段です。オンライン決済処理のシェアにおいて、PayPalは約45.5%と圧倒的首位で、Stripe(17.1%)やShop Pay(15.7%)を大きく引き離しています。

PayPalが高い信頼を得ている理由の一つは、消費者保護が手厚い点です。顧客はメールアドレスとパスワードだけで支払いができ、クレジットカード情報を売り手に知らせずに済むため安心感があります。また、万一の商品未着や不正取引が発生した場合でも、PayPalのバイヤープロテクション(購入者保護プログラム)によって返金を受けられる可能性があります。

Stripeの技術的信頼性

Stripeは消費者向けブランドとしての認知度は高くありませんが、裏方の決済インフラとして世界中のサイトに組み込まれており、技術基盤やセキュリティの高さから多くの企業に信頼されています。

実際、StripeはZoom、Slack、freee、日経など世界数百万の事業者に導入実績があり、高度な不正検知システムやPCI DSS準拠のセキュリティで安全な決済処理を提供しています。過去の平均稼働率は99.999%とも報告されており、安定性の面でも優れています。

消費者にとってStripeは裏方の存在ですが、ストレスなくカード決済が完了する体験そのものが信用につながっています。大手プラットフォームが採用するだけあり、「あの有名企業も使っている」という形で間接的に信頼を獲得していると言えるでしょう。

Shop Payの急成長と利便性

Shop Payは、Shopify店舗の増加とともに近年急速に利用者を伸ばしている新しい決済ブランドです。2025年時点でShopify Pay(Shop Pay分割払いを含む)の市場シェアは約15.7%に達し、Stripeに匹敵する規模になっています。

Shop Payの強みは**「速さ」と「安全性」の両立**です。ユーザーは一度Shop Payにクレジットカードや住所を保存すれば、以降は対応する他のShopifyストアでも再入力不要で決済できます。この利便性から、Shop Pay利用者は非利用者に比べリピート購入率が77%高いとのデータもあり、一度情報を預けた顧客が継続的に利用する傾向が見られます。

決済時には登録電話番号宛にワンタイムコードが送信され、それを入力することで本人確認を行うため、第三者による不正利用を防ぐ仕組みになっています。保存されたカード情報はShopify/StripeのPCI準拠サーバーに安全に保管されており、加盟店側でカード情報を保持しないため情報漏洩リスクも低減されます。

特にモバイル経由の購買が主流化する中、Shop Payはモバイル最適化されたスムーズな体験を提供することで顧客の信頼とロイヤルティを獲得しています。「紫色のShop Payボタン」に見覚えがある消費者も増えており、知名度も徐々に向上しています。

まとめ:事業フェーズと戦略に応じた最適な選択

米国向け越境ECにおける決済サービス選びは、事業の成長フェーズや利用するECプラットフォーム、ターゲット顧客層によって最適解が異なります。

**PayPalは圧倒的な知名度と安心感から越境ECには「導入必須」**と言われる決済手段であり、特に米国顧客向けには支持率が高いと言えます。導入の手軽さと消費者保護の手厚さから、まずはPayPalを導入し、顧客の信頼を獲得することが推奨されます。

Stripeは目立たないながらも多くのサイトを支える縁の下の力持ちで、高度なセキュリティとグローバル対応力、柔軟なカスタマイズ性から企業・開発者に信頼されています。技術リソースがあり、独自の決済体験を構築したい企業にとって最適な選択肢となるでしょう。

Shop PayはShopifyユーザー層を中心に急速に受け入れられている新星で、利便性の高さからくるユーザーの再利用率の高さが信頼の証です。Shopifyでストアを運営するのであれば、最も手軽でコスト効率の良い決済手段と言えます。

実際には、これら複数のサービスを併用することで、より多くの顧客の決済ニーズに応えることが可能です。自社のターゲット市場や利用するECプラットフォームに合わせて、これらサービスを適切に組み合わせることが、米国向け越境ECで顧客の安心感とコンバージョン向上を両立するポイントとなります。

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