FDA規制の4大カテゴリー完全ガイド|食品・医療機器・サプリメント・化粧品の日米比較

米国税制情報

はじめに:FDA規制カテゴリーの戦略的重要性

米国食品医薬品局(FDA)が管轄する4つの主要カテゴリー―食品、医療機器、栄養補助食品、化粧品―は、日米間のビジネス展開において極めて重要な規制領域です。これらのカテゴリーは、製品の定義や承認プロセス、表示要件が日本の制度と大きく異なり、適切な理解なしには市場参入の障壁となる可能性があります。本記事では、各カテゴリーの規制内容と日本制度との比較を通じて、実務に必要な知識を体系的に解説します。

食品(Food)規制の日米比較

米国FDAの食品定義と規制フレームワーク

連邦食品・医薬品・化粧品法(FD&C法)では、食品を「人または動物が摂取する飲食物、チューインガム、またそれらの成分となる物質」と定義しています。特に「従来型の食品(Conventional Food)」として、味や香り、栄養価を目的に消費される通常の飲食物が位置づけられています。

米国の食品規制の特徴は、FDAによる一元的な管理体制にあります。2011年制定の食品安全強化法(FSMA)により、食品施設の登録やハザード分析に基づく予防管理の実施など、より厳格な安全管理が義務化されました。

安全基準と承認要件の実務ポイント

市販される食品は安全でなければならず、有害な物質を含む不純食品や表示に誤りのある不当表示食品は流通が禁止されています。食品添加物についてはポジティブリスト制となっており、新規の添加物を使用する場合はFDAの事前承認が必要です(一般に安全と認められるGRAS物質など除外あり)。

表示義務については、加工食品には栄養成分表示(Nutrition Facts)が義務付けられており、カロリーや主要栄養素の含有量をラベルに表示する必要があります。また原材料名の表示や、主要アレルゲン(米国では現在9品目)の表示も法律で義務付けられています。

日本制度との根本的差異

日本では食品の所管が複数の官庁に分かれている点が大きな相違点です。食品の安全衛生基準は主に食品衛生法に基づき厚生労働省が管轄し、食品表示や栄養表示・健康強調表示は食品表示法に基づき消費者庁が管轄しています。このように日本では食品行政が縦割りですが、米国では食品の80%以上をFDAが一元的に管理しています。

また、食品添加物の規制では日本はポジティブリストに掲載された約400品目のみ使用可と厳格なのに対し、米国ではGRAS制度により科学的に安全と認められた物質の使用が柔軟に認められる傾向があります。

医療機器(Medical Devices)の分類と承認プロセス

用途基準による医療機器の広範な定義

米国FDAの医療機器定義は「製品の見た目ではなく用途(意図された使用目的)によって決まる」ため、その範囲は日本より広い場合があります。例えば、日本では健康器具や美容雑貨とみなされる家庭用のマッサージ器、美顔ローラー、電動歯ブラシ、耳かき等も、効能効果の謳い方次第では米国では医療機器として規制対象となり得ます。

リスク分類と承認プロセスの戦略的理解

医療機器はリスクの程度によりClass I(低リスク)からClass III(高リスク)の3段階に分類され、それぞれ規制要件が異なります。

**Class I(一般医療機器)**はリスクが最も低く、FDAへの市販前の審査は免除されており、メーカーは自己確認の上で機器を登録すれば販売可能です。

**Class II(中リスク)**機器の多くは市場投入前にFDAへの510(k)届出(市販前通知)が必要で、既存の承認機器と実質的同等性があることを示すデータを提出します。FDAが提出資料を審査し、安全性・有効性が同等と判断すれば当該機器の販売がクリアランス(認可)されます。

**Class III(高リスク)**機器は人体への重大な危険があり得るため、PMA(市販前承認)によってFDAの厳格な審査・承認を受ける必要があります。PMA申請では安全性・有効性を裏付ける臨床試験データ等の提出が求められます。

日本制度との制度設計の違い

日本における医療機器規制は医薬品医療機器等法(薬機法)に基づき行われ、基本的な枠組みは米国と類似していますがいくつか違いがあります。日本でもリスク分類が導入されていますが、その区分はクラスI(一般医療機器)からクラスIV(高度管理医療機器)まで4段階です。

米国の510(k)はFDA自らが同等性審査を行うのに対し、日本のクラスII認証は民間の認証機関が担う点が異なります。また、日本では製造販売業者に対する業許可制があり、企業は医療機器ごとに承認書あるいは認証書を取得して販売します。

栄養補助食品(Dietary Supplements)の規制フレームワーク

DSHEA法による独自の規制体系

1994年の栄養補助食品健康教育法(DSHEA)によってFD&C法に明確な定義が設けられました。サプリメントとは「ビタミン、ミネラル、ハーブその他の植物、アミノ酸、あるいは食物由来の物質」を1種類以上含み、「食事の補給を意図した製品」で、錠剤・カプセル・粉末・ソフトジェル・液体などの形態で摂取されるものを指します。

事前承認不要の市場参入システム

サプリメントは医薬品とは異なり、FDAによる製品ごとの事前承認や有効性・安全性の審査は要求されません。メーカーは新製品を市場投入する際、FDAへの届出や許可取得は基本的に不要であり、これは米国市場に数万種類ものサプリメントが流通する自由な市場を生んでいます。

ただし、1994年以降に市場に存在しなかった新規成分(New Dietary Ingredient)を含む製品については、発売前にFDAへ安全性に関する通知(NDI届出)を行う必要があります。

表示・許可される主張の実務的理解

サプリメントには「サプリメントファクト(Supplement Facts)」表示欄を設け、含有成分や栄養成分量を明示する必要があります。効能の主張については、医薬品のような疾病の治療・予防効果を標榜することは禁じられています。

一方で、サプリメント独自の表現として構造・機能強調表示(Structure/Function Claim)が認められており、例えば「カルシウムは骨を強化し健康維持に役立つ」といった身体の構造や機能に関する一般的な効能を謳うことが可能です。この場合、「本品は疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません」というFDA未評価の旨の免責文言をラベルに併記する義務があります。

日本制度との機能性表示制度の比較

日本には「栄養補助食品」「サプリメント」に該当する明確な法律上の定義はありません。いわゆるサプリメント類は広く「健康食品」として食品扱いされ、医薬品成分さえ含まなければ、その形状が錠剤・カプセルであっても食品として販売が認められています。

日本には健康食品の機能性を表示できる公的制度として保健機能食品があります。これは「特定保健用食品(トクホ)」「栄養機能食品」「機能性表示食品」の総称で、それぞれ表示の可否や要件が異なります。米国ではサプリメントについてFDAの許可なしに機能性を表示可能で、企業の裁量で幅広い表現が認められるのに対し、日本では前述の保健機能食品制度以外で健康効果を謳うことは原則できません。

化粧品(Cosmetics)規制の最新動向

MoCRA法による規制体制の大転換

FD&C法において化粧品とは、「人の身体に塗布・散布その他の方法で適用し、身体を清潔にし美化し魅力を増し、または外見を変えるための製品」と定義されています。米国の法律上、「医薬品的効能を謳わない限り」それらは化粧品として扱われます。

2022年末に成立したMoCRA法により、米国でも初めて化粧品の業者登録・製品リスト提出が義務化されました。2024年末までに米国内で流通する化粧品を製造または加工する全ての施設(国外企業も含む)はFDAへの登録を完了し、各製品についても製品名・カテゴリーや成分リスト等の情報をFDAに届け出る必要があります。

安全性確保と表示規制の実務ポイント

化粧品は安全でなければならないという大前提がありますが、米国ではメーカー自身が各成分の安全性評価を行い製品の安全性を保証する建前です。MoCRA法の施行により、深刻な有害事象の当局報告義務が新たに課され、企業は消費者から重篤な副作用の報告を受けた場合15日以内にFDAへ届け出る必要があります。

効能に関しては、治療や予防など医薬品的な効能を標榜すれば規制対象が化粧品から医薬品に変わってしまいます。そのため米国の化粧品広告では「シワを改善する」ではなく「外観を一時的になめらかに見せる」といった表現に留めるなど、企業は医薬品と見なされない範囲で文言を工夫しています。

日本制度との根本的アプローチの違い

日本では化粧品は薬機法の下で医薬品・医薬部外品・化粧品のカテゴリーに分類され、各々で規制内容が異なります。米国との顕著な違いとして、日本には医薬部外品(いわゆる薬用化粧品)という中間カテゴリーが存在する点が挙げられます。

例えば抗汗(制汗)剤や薬用美白クリーム、ニキビ予防化粧水など一定の有効成分を含み特定の効果を標榜する製品は、日本では医薬部外品として厚労省の個別承認を要しますが、米国では制汗剤は医薬品(OTCデオドラント剤)としてモノグラフ規制、美白クリームは含有成分により化粧品または新薬扱いとなるなど、対応が異なります。

日米規制差異のビジネスインパクト

製品カテゴリー判定の戦略的重要性

同じ製品でも、その表示する効能内容によって法的カテゴリーが変わる点は、特に注意が必要です。例えば日焼け止めは、日本やEUでは化粧品として扱われうる製品ですが、米国では紫外線から皮膚を防御し日焼けを予防する効果を謳う時点で人体機能に影響を与える医薬品と見なされ、OTC医薬品として規制されます。

表示・広告戦略の地域別最適化

米国では企業の自己責任と事後規制を重視するアプローチが基本となっています。一方、日本は事前規制による管理色が強く、「許可された成分・表現以外は不可」というプリンシプルで運用されています。

この違いは、製品開発から市場投入、マーケティング戦略まで全ての段階で考慮すべき重要な要素となります。各国の規制の違いを十分認識し、自社製品を適切に分類・表示して展開することが、国際展開成功の鍵となります。

まとめ:FDA規制理解の戦略的価値

FDA管轄の4大カテゴリーは、それぞれ独自の規制フレームワークを持ち、日本制度との間には根本的な思想の違いが存在します。食品では一元的管理対縦割り行政、医療機器では用途基準による広範な定義、栄養補助食品では事前承認不要の自由市場、化粧品では効能による厳格な区分など、各分野で異なる特徴を理解することが重要です。

これらの知識は、単なる規制対応を超えて、製品戦略や市場参入戦略の立案において競争優位を生み出す重要な要素となります。規制環境の変化を継続的にモニタリングし、ビジネス戦略に反映させることで、日米両市場での成功確率を高めることができるでしょう。

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